三六協定 労働組合 残業(時間外労働)

三六協定は締結は労働者の自由 【中級】

2017/07/15

三六協定とは、時間外労働や休日労働をする場合の協定です。
パンフレットや書籍等には、時間外労働や休日労働をさせる場合とかいてありますが、あえてする場合と書きました。これは、時間外労働や休日労働をするかどうかは労働者の過半数代表者(後で説明)が決めることができるのです。

 労働基準法第36条には、「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合において........その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。」と謳われています。
この行政官庁とは、労働基準監督署(労働基準法 施行規則)です。
すなわち「労働時間を延長し、又は休日に労働」することができるのは、「使用者」と「労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表するものとの書面による協定」を結ぶことが必要なのです。この書面による協定を労働基準法第36条に謳われていることから、三六協定(サブロク協定)と言います。 労働基準法で規定する労使協定には、三六協定を含む以下のものがあります。

労使協定の種類 監督署届出義務
貯蓄金管理に関する協定(第18条) あり
購買代金などの賃金控除に関する協定(第24条) なし
1ヵ月単位の変形労働時間制に関する協定(第32条の2) あり
フレックスタイム制に関する協定(第32条の3) なし
1年単位の変形労働時間制に関する協定(第32条の4)  あり
 1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定(第32条の5)  あり
 一斉休憩の適用除外に関する協定(第34条)  なし
時間外労働・休日労働に関する協定(第36条)  あり
 事業場外労働に関する協定(第38条の2) あり
 裁量労働に関する協定(第38条の3)(専門業務型) あり
年次有給休暇の計画的付与に関する協定(第39条) あり
 年次有給休暇取得日の賃金を健康保険の標準報酬日額で支払う制度に関する協定(第39条) あり

さて、三六協定に戻りましょう。中小企業の多くは、労働組合はなく、この労働者の過半数を代表するもの(以下「労働者の過半数代表者」)が三六協定を使用者(会社)と締結するのです。

三六協定を結ぶかどうか、これは、労働者の過半数代表者が結びたいと思えば、結べば良いのですが、結びたくなければ結ぶ必要はありません。結ばない理由を使用者に説明することも必要ありません。また、「健康で文化的な生活を送るため」とか、「仕事の終わった後、自由に時間を使いたい」でも良いのです。 理由に対する評価や結ばないことに対して使用者と議論をする必要もありません。
使用者が三六協定を結びたいと思っている時には、結ぶか結ばないかは労働者の過半数代表者がキャスティングボードを握っているのです。
多くの労働者が三六協定を結ぶための労働者の過半数代表者を出したくないと思えば選出さえもしなくていいのです。

 もちろん、三六協定に限らず、上記に提示した労使協定はすべて、結ぶか結ばないかは労働者代表(あるいは、過半数を組織する労働組合)の自由なのです。

労働者の過半数代表者とは、「労働基準法第41条第2号 に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」と「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること」との条件があり、また使用者に対して「使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」となっています。(労働基準法施行規則第6条の2)
ややこしいのですが、「労働基準法第41条第2号 に規定する監督又は管理の地位にある者」というのは、「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」として、通達として一般的な原則(1947年 9 月 13 日付発基17号、1988年3月 14 日付基発150号)と言われるものが出されている。

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