加入要件の落とし穴
ここでは、一般の医院や歯科医院など小規模な医療職場で働いておられる看護師やコメディカル、歯科衛生士、歯科助手、事務職員(常勤の勤務医師も対象です)などの方々の健康保険に関する問題点を掲げています。
健康保険についての問題点を指摘して、改善を行うべきであること、改善を行った例を掲げています。ぞのような立場の方々の相談を受け付けています。
■社会保険加入についての一般知識
◯適用事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所があります。
(1)強制適用事業所とは
法人の事業所は、常時使用する人の人数にかかわらず強制適用事業所となり、法定の16業種の事業所(法人ではない)では、常時5人以上の従業員を使用する事業所が強制適用事業所となります。法定の16業種以外のものは下記のものです。
・第一次産業(農林・水産・畜産業)
・接客娯楽業(旅館・料理店・飲食店・映画館・理容業等)
・法務業(弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社労士等)
・宗教業(神社・寺院・教会等)
歯科医院や医院は、法人であれば強制適用事業所であり、また疾病の治療、助産その他医療の事業ということで16業種に入っているので、常時使用する従業員が5名以上いれば強制適用事業所となります。
(2)任意適用事業所とは
強制適用事業所でない事業所(個人かつ16業種の事業所で5人未満、16業種以外の業種)が、被保険者となるべきものの2分の1の同意を得て厚生労働大臣に申請し認可をうけたもの
歯科医院や医院は、疾病の治療、助産その他医療の事業であり16業種であり、常時5人未満の従業員であれば、申請・認可により任意適用事業所となり、社会保険の適用となります。
今まで述べたことは、事業所がどうかとうことであり、各従業員が被保険者となることができるかどうかについては、下記の例外があります。
(3)労働時間による制限 法律で決まっていたり、通達で出ていいるわけではありませんが社会保険加入時のルールとして各年金事務所で運用されています。
一般従業員の所定労働時間(及び日数)の4分の3以上勤務
(4)健康保険の例外
- 船員保険の被保険者
- 所在地が一定しない事業所に使用される人
- 国民健康保険組合の事業所に使用される人
- 健康保険の保険者、共済組合の承認を受けて国民健康保険へ加入した人
- 後期高齢者医療の被保険者等
■歯科医院で働いていた歯科助手の方の事例
本人は、歯科の医院長のパワーハラスメントでうつ病を罹患し仕事ができない状態でしたので、私は、まず傷病手当金の支給で当面生活をしていくように言いました。しかし本人の健康保険は傷病手当金は制度としてない歯科医師国保でした。
歯科医院へ就職するときに、健康保険に関してその医院から年金手帳とその他書類を書いて提出したことは覚えていましたが、どのような書類を提出したのかは覚えていませんでした。
そして本人は、健康保険証を手渡されましたが歯科医師国保の健康保険証でした。本人は何も疑問を持たないまま、その健康保険証を使っていましたが本人自身が病気で長期間休むことになって、国民健康保険であるから傷病手当金は出ないことを知りました。
本人の医院は法人の事業所でした(従業員も5名以上でした)。その医院は強制適用事業所であるのに、なぜ歯科医師国保の加入となっているのかわかりませんでした。
まず、年金事務所へ行き社会保険の強制適用であるのに、歯科医師国保に加入しているので指導してほしい旨を言いました。しかし、「健康保険被保険者適用除外承認申請書」が提出されて承認されれば、厚生年金は加入であるが健康保険を歯科医師国保に加入することはできる旨を聞きました。(上記(4)4の例外)
◯◯県歯科医師国保組合に出向き、健康保険被保険者適用除外承認申請書に本人が記名押印しているが、本人は意味がわからず記名押印したものであると事実を主張して、病気で休んだ月の1日に喪失を約束させました。
年金事務所に行き、事情を説明して協会けんぽの健康保険に加入を了解してもらいました。そして、理由書を書き傷病手当金を申請しました。
医院や歯科医院に就職するときに、健康保険と国保の違いの説明を全く行わず、一方的に記名押印させて(ほとんどの職場ではそうでしょうが)医師国保や歯科医師国保に加入させているのが現状です。働く人たちを権利が蹂躙されるこの医師(歯科)国保制度に加入させることは問題あるのです。
2017/03/12